「魔法の鏡」


人類は「魔法の鏡」を手に入れました。


魔法の鏡は何でも答えてくれます。

そこで人類は質問をします。

「鏡よ鏡。この世で一番美しいのは誰?」

すると鏡は「新垣結衣だ」と答えました。

これに納得できない長澤まさみ派は「どうして新垣結衣が一番なのか」と鏡に問いただしました。どうやら鏡には独自の順位決定方法(採点基準や審査方法)があったようです。
長澤まさみ派はこれに怒り、順位決定方法の変更を求めました。しかし、新垣結衣派は妥当だったと反発しました。一方で綾瀬はるか派は相対評価にすべきと言い、橋本環奈派は一般投票で決めようと言い、有村架純派は年齢制限をつけろと言いました。話し合いは硬直状態です。結局、人類は「人それぞれ価値観が違うのだから比べることは無意味。ケンカの元になるだけ」という結論を出し、皆で鏡を割ったのでした。

しかし、次の年。再び人類の前に、魔法の鏡が現れたのです。
人類は出来心でもう一度聞いてしまいます。

「鏡よ鏡。この世で一番美しいのは誰?」


すると鏡は「長澤まさみだ」と答えました。


当然、この後鏡は割られることになりました。
しかし次の年も、また次の年も。何度割っても鏡は現れるのでした。



人類は「魔法の鏡」を手に入れました。


魔法の鏡は何でも答えてくれます。
そこで人類は質問をします。

「鏡よ鏡。この世で一番美しいのは誰?」


すると鏡は「どのようにして決める?」と言いました。


人類はこれを機に、皆で「美しい」について話し合うことにしました。そして最終的には多数決をもって「現時点において、人類の過半数が納得した順位決定方法」を作り上げました。さらに「順位決めの対象者になれるのは、この順位決定方法に同意している人だけ」というルールを設けました。これなら対象者からの不満は出ません。

「鏡よ鏡。この順位決定方法とルールだったら誰が1位になる?」

すると鏡は「新垣結衣だ」と答えました。


新垣結衣派は喜びました。
長澤まさみ派は悲しみましたが、結果自体に異論はありませんでした。皆で考えた順位決定方法で正々堂々やったのですから、仕方ありません。
志願して対象者となった長澤まさみ自身も、潔く負けを認め、優勝の新垣結衣を褒め称えました。そして次こそは優勝するぞと意気込み、この順位決定方法において「勝つための美しさ」を追求するのでした。

今回の順位決定方法に納得していなかった人達も行動を起こしました。ある人は人類皆に聞こえる声で「次回はこのようにした方がいいんじゃない?」とアピールし、ある人は自分と思想の近い人達と共同で「第2の鏡」を作りました。

人類はすでに「美しさを比べるのは無意味」ということは理解していました。しかし、鏡を割ることはしませんでした。
例え無意味なものであっても、「順位をつける」ということ自体が誰かにとってモチベーションになり、誰かにとって娯楽になり、誰かにとって有益な情報になり得る、ということを知っていたからです。

そこで人類は鏡を大切に保管し、また来年も一番美しい人を決める質問をすることにしました。ただし、来年には再び鏡に対して「現時点において、人類の過半数が納得した順位決定方法」を提示しなければなりません。人類は一年をかけてじっくり、「美しい」について話し合っていくのでした。



2018年、ペンスピナーは「魔法の鏡」を手に入れました。